その日、僕らはお日様の下で撮影することを期待して来ていたけど、島はかなり冷えていた。お日様はちゃんとそこにいた。雲の後ろに、だけど。ということで、携帯電話とミニ・スタジオ機材で撮影した、この新曲のソロ・ヴァージョンをお届けします。波、鳥たち、風の伴奏付きで、シンプルなコードが繰り返される、旅人のバラード。僕らの人生にエコーする渡り鳥のストーリーを、島の映像と共に。皆さんに気に入ってもらえたら嬉しいです。もうじきお届けするE.P(ミニアルバム)「Hirondelle/ツバメ」にもこの曲が収録されますが、そちらはアレンジの異なるバージョンになります!お楽しみに!
渡り鳥は、闇夜を見渡す瞳を持つ。
隠れた道も、逆光でも、見渡せる瞳。
世界地図は絶えず描かれ、新たな広がりを形作ると、
渡り鳥たちは知っているのさ。
そこは、野生の白鳥が長い冬を過ごす場所。
僕らも時には過ごしてみたいと、焦がれる場所。
だけど心の羅針盤がまず指し示すのは、
空気を清める春の香りを愛すること。
谷間を見下ろす崖にぶら下がって、
重みのない巣を、暢気に作ってしまうこと。
毎年帰ってくる、毎年同じ
儚い花々の
紅い空に護られて。
こうして蒼空を通り去る鳴き声は、僕らを突き抜ける。
渡り鳥みたいに、君自身の眼で見てごらん。
僕らを引き寄せる水平線を、誤魔化すことはできない。
僕らの胸の内にあるように、この蒼が、空にある。
そしてもし不安が、雲が、また覆ってきたとしても、
光の島々は、必ず見つかるさ。
地下水の流れと同じルートで、
渡り鳥は、失われる愛を導く。
危ぶんだ言葉、まだ唇の先で震える言葉。
それを伝えきれなかった者達を、導いてゆく。
時を渡り、矢を放つ。
鳥たちはいつも、今ある心に帰ってくる。
まだ籠の中にいる鳥でさえ、
北国の森のゆるやかな目覚めを、
野生の大きな白鳥の生き生きとした希望を、
若い燕たちの笑い声さえも、感じ取れるんだ。
それは大地に脈打つ春の鼓動が、
この崩壊する世界の中で、下からさえ脈打つから。
暖かさをもたらす春、
日に日に穏やかさを増す太陽、
口元の笑顔と、空の蒼のような、てっぺんの愛。
蒼の真ん中を、渡り鳥は、飛んでいく。
(翻訳:武田洋子)